漢方医学における治療といえば、湯液や針灸という薬物療法や物理療法が中心と考えられています。しかし、それらの治療法が必要となる前に、漢方的体質である証を考慮しながら、漢方的考え方に基づいて日々の暮らしを重ねることの方が重要です。もちろん、漢方治療を行うに当たっても養生が基本であることは間違いありません。現代の漢方医からも治療の際に細かい養生に関する指導が行われています。
養生の知識をまとめたものとして、江戸時代の漢方医・貝原益軒が著した『養生訓』は手に入りやすいです。「腹八分目」などの知恵もこの中に出てきます。この本には、衣食住の生活の仕方の他、医者の選び方まで書かれているのは、ある意味興味深いです。