漢方が成立した時代には現在医師が用いているような検査機器は発達していませんでした。そのため、漢方医学による診察は、医師はすべての五感を駆使することによって診断を行っていました。漢方独特の診察方法は四診といわれます。
学会認定の漢方専門医は西洋医学をきちんと学んだ上に、漢方治療を行っていますので、西洋医学的診断治療と漢方医学的診断治療を平行して行うことが可能です。そのため、聴診器、血圧計の他、様々な画像診断、血液検査ももちろん行います。
また、舌の辺縁に歯型がついている場合、これを「歯痕」といいます。これは水毒という漢方医学的病態で、カラダの中で水分の偏りが起こり、以下のような様々な病態に繋がります。慢性咳嗽・花粉症・多汗症・膝関節痛などがあります。
腹診とは四診の中では切診に含まれる診察方法です。漢方の古典である『傷寒論』にも一部その記載がありますが、江戸時代の漢方医によってその診察方法は大きく発達しました。
西洋医学的な腹部の診察では膝を曲げて横になっていただきます。これは腹部の筋肉の緊張を少なくして、腹部の内臓を触知しやすくするためです。漢方では腹部の筋肉の緊張状態も大事な所見となりますので、膝は伸ばしたまま診察します。
これらの所見と他の四診から得られた情報を元に漢方的な診断を下します。